恐怖体験。

自身のメモ、ということでダラダラと書いてみる。
今朝のご飯は3分の1で止めるよう指示があった。
午後イチの手術なので昼ご飯はナシ。
11時にコップ1杯のお茶を飲まされる。
これでもう、手術が終わるまで何も口にできないらしい。
予定時刻は14時だったので、トイレなどを済ませておく。
キンチョーして病室で待っていたけど、一向にお迎えが来ない。
どうやら前の手術が長引いているらしい。
それだけオレの断食が長くなるのに。
15時近くまで待っただろうか、小池栄子風が迎えに来た。
確かこの時、鼻にガーゼが挿入される。
どうやら麻酔液に浸してあるようで鼻の内壁がひんやり。
そしてついに手術室へ移動する。
搬送ベッドに載せられ、エレベータで手術室へ行く。
結構人の目が気になる。まだ手術してないんだから歩いて行かせてくれ。
手術室に入ると医師3人と看護師さんたちが3人くらい。
BGMのケミストリーが余計に耳障り。
まず手術台に載せられ、パジャマの上を脱がされる。
そして毛布をかけられ、ベルトでカラダを拘束され、血圧計などが装着される。
病院ドラマとかで見たまんまのデカいライトが天井に。
血圧計や心拍計などの機械を見ると少し緊張。
まずは医師のアイサツ。
自己紹介や簡単な手術の内容など。
鼻中隔湾曲矯正術と下鼻甲介なんたらかんたら。
リラックスしていたのもつかの間、ヤマ場がイキナリやってくる。
鼻と口の上に丸く穴の空いたシートを被せられ、
「チクッとしますよー。」との医師の声。
「はぅあっ!」
声にならない声を思わず上げてしまうほどのチクッと具合!
つぅかチクッと、どころじゃねー。
しかもそれが1回や2回じゃ終わりゃしない。
たぶん15回くらい、到るトコロに射ちまくり。
コレが今日一番の痛みだから、コレさえ乗り切れば大丈夫だから、
と自分に言い聞かせてひたすらコブシを握る。
(コレ、書いてるだけでケツの筋肉にチカラが入る・・・。)
麻酔が効いてくるまでの時間、休憩ができた。
こっちも呼吸を整えてヤツらの攻撃に備えないと。
部分麻酔なので医師の指示がこちらの耳にも入ってくる。
医師はボス、執刀、見習いの3人。
ボスが執刀に下す指示で現状がなんとなく分かった。
「メス!」
「じゃ、このラインに沿って切開!」
ああああああ、切ってる!切って開いてるよ!
麻酔が効いてて痛くはないんだけど感覚は意外とリアル。
鼻の内壁をメスで切り開いて、軟骨を露出させているようだ。
皮膚部分の切開が終わったら、次は湾曲した軟骨の切除。
右と左の鼻の間にある軟骨をメスで少しずつ切って取り除く。
確かに鼻のパーツが切り取られて、体外に持ち出されるのが分かる。
見えないけどきっと鼻は出血でタイヘンなことになっていたに違いない。
その鼻の出血はそのまま口の中に降りてくる。
「出しちゃってー」とか言われるので、そのまま被せられたシートの上に吐き出すと、
掃除機みたいなモノでキレイにしてもらえた。
だいぶ切り取られたので、そろそろ終わりに近づいてきたかな?
なんて思ってたら
「ズミさーん、もう半分くらい済みましたからねぇ。」とかぬかしやがる。
はぁ?まだ半分?!
マジでこの時ばかりは目の前が真っ暗に。
あまりのオレの落胆ぶりに少し休憩を取ってくれた。
暑くなってきたので毛布を脱がせてもらう。
言われるまで気付かなかったけど、すごい発汗。
汗(もちろん冷や汗だろうけど)でカラダがびしょびしょになってた。
そりゃそうだ。1時間くらい全身が力みっぱなしなんだから。
ナースが汗を拭いてくれたけど、ニヤけてる余裕はまるでナシ。
ここでまた麻酔注射を2、3発追加して、後半戦が始まった。
メスで軟骨を削り取る作業がしばらく続いたが、
「○○取って!」
明らかにメスではないナニかを手にしたもよう。
シーツでナニも見えないのでドキドキしてたら、
鼻の奥の方をつままれるような感覚。
何してんだ?と思った瞬間、
ミシミシ、って自分でも信じられない音が聞こえてきた。
自分の骨がミシミシて!自分の頭蓋骨がミシミシて!
どうも新しい器具はラジオペンチみたいなモノらしく、
骨を挟んでちぎり取るようなカンジらしい。
痛みはなくても頭蓋骨にその衝撃は伝わってるワケよ?分かる?この恐怖。
思わずカラダにチカラが入ってしまい、めまいがしてきた。
「ズミさーん、チカラ抜いてぇー。はい深呼吸。」
そうそう、おもわずカラダをこわばらせてしまうのだ。
深呼吸を数回して、手術再開。
軟骨と言えども硬い部分があるようで、
ラジオペンチによる作業がしばらく続く。
それでも作業が思うように進んでいない様子。
もうすぐ終わるかなぁ?なんて思ってたズミの耳に
信じられないコトバが聞こえたのも、ちょうどこの時。
「看護婦さん、ノミ取って。ノミ。」
・・・ちょっと待って下さいよ?!
大工仕事なんて後で良いから手術の続きやって下さいよ、と。
いや待てそんなワケないよな・・、
まさかオレ?オレにその野蛮な刃物を向けるわけ?
これから自分の身に起こるであろう出来事をイメージしたときの絶望感と言ったら!
思った通り、そのノミを鼻の中に突っ込んできた。
表層部なんかじゃなく、アタマの中心辺り。
その辺から良い音がするんだよ、コンコン!って。
もしコイツの手元が狂って、変なトコロをコンコンってやったら・・・、
なんて考えたらすげービビっちゃう。また呼吸するのを忘れる。
ちょっとしたDIYも無事済んで、
今度は大きな音のする機械を持ち出してきた。
蚊の泣くような声で聞いてみたら、その機械は鼻腔内の腫れた粘膜を削り取るモノだそう。
ソイツで鼻の内壁を撫で回すこと数分。
次は切ったトコロを縫合しているのが分かった。
続いて鼻にガーゼを挿入。
結構大きいガーゼを左右5枚ずつ。
せっかく通るようになった鼻がまた塞がれる。
出血が止まるまで丸2日はガーゼを詰めっぱなし、とのこと。
全行程で約2時間半。
ようやく手術が終わった。
長かった・・・。
ナメてかかってたましたよ、えぇ。
それがまさか大工道具が出てくるなんてね。
冗談のつもりでセンセイに恨み言を2言、3言。
でも疲労感で口を開くのもしんどいカンジ。
つぅかひっきりなしに血が口に降りてくるから、口を開けていらんない。
手術室を出てエレベータに向かうと、相方が出迎えてくれた。
ベッドに戻ると同室のオヤジさんたちも。
手術の疲れと口に降りてくる血のせいで、
お腹は空いているはずだけど食事を摂る気がしない。
この日は結局お茶、ジュースのみ。
鼻に詰めてるガーゼのせいで呼吸はしづらいわ、
食事はしづらいわ、食事の味は分からないわ。
一番ツラいのは、目が開けていられないほど痛くなること。
後で教えてもらったことだけど、鼻の近くにある視神経を圧迫しているのが原因らしい。
これについては痛み止めの錠剤で痛みを抑えることに。
数分間隔で吐血を繰り返すおかげで夜も横になることができず、
壁にもたれてうたた寝をするのみ。
奥まで詰められたガーゼが血と一緒に口に降りてきてしまって、吐き出す。
あんなナミダ目な自分は、なかなか人に見せられたもんじゃない。
夜中で良かった、と思う。

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